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3/10 県議会産業委員会報告

県 産業委員会にて質疑

■ 3日間の集中審議 

 

昨日までの3日間に亘って開かれた県議会産業常任委員会。コロナ禍で消費の低迷が続く生花産業への支援として委員会席中央にはお花が用意されるようになり、今回は『掛川桜』が飾られました!

 

産業委員会は県議会7つの委員会のうち一番『担当課』が多く、委員会に出席する職員数が最大。そのためコロナ禍での密を避けるため、産業全般・商工、農林水産、企業局の3分野、3日間に分けて審議が行われました。夕方まで県庁に缶詰です!

 

さて質問の内容と答弁、私からの要望や提案について、協議の様子を報告します。

 

① 来年度に繰り越す事業の要因と改善について

行政には、予定していた事業が一年で完成しないことがあり、これを予算ごと翌年度に繰り越す仕組みがあります。この繰越には、公共事業の発注時期が年度末に偏らないように意図的に補正予算を組んで翌年度当初に発注する『計画的繰越』とは別に、災害で事業が遅れたり、コロナ禍で資材調達に日時を要したり、そもそも職員の業務飽和で処理できなかったり…。こうした繰越を掘り下げていくと、職員配置の課題や事務手続の煩雑さが浮き彫りになることがあるのです。

今年は度重なるコロナの緊急事態や蔓延防止措置で経済産業部でも、応援金や経済対策など通常業務に追加されたものがたくさんありました。限られた人材、時間、予算のなかで、その上で本来の経済支援の事業を予定通り進めていくのは本当に大変なことですが、このことも私たち議員にとっても、職員の皆さんにとっても、大切な成長の糧にしなくてはなりません。

 

② 雇用調整助成金の支給減と失業なき労働移動について

昨年10月に県内で支給された雇調金件数は9千件余り。これが今年2月には5件台にまで減少しました。当初今年3月が雇調金支給期限とされていたこともあり、中にはこの期限を目途に解雇されたケースもあったかも知れません。政府は雇調金の支給と並行して、在職者への他業種資格の訓練や副業の奨めを行いつつ『失業なき労働移動』を掲げてきました。そして本県でも『人材余剰企業から人材不足企業』へのマッチング支援を行うしてきました。私は一年前から雇調金の支給打切りと同時には景気回復、消費回復はしないため、大量の失業者を発生させないよう、今のうちから転職、副業、新たな資格取得支援を提案してきました。特に、介護人材、公共交通や運送におけるドライバー、建設や設備事業者における技術者や警備など、本業の継続不能や公共事業への応札不調の報告も聞かれるようになり、私は社会での人材配置の再構築が急務だと思っています。今回の質問では、雇調金支給減の背景や人材不足に直面する企業区分について答弁を求めましたが、残念ながら県からは充分な回答はなく、雇用問題への情報収集不足、企業活動の全般を把握するための分析力のなさを今回も感じることになりました。

 

③ 燃油高騰に対する農水事業者への支援策について

世界的な燃油の高騰を受けて、自民改革会議では支援策を要望しました。これを受けて経済産業部が提示した支援策が、施設園芸事業者などへの価格高騰分を補助するというもので、適切な対応をいただけたものと感謝しています。しかしこの支援を受けるためには、国のセーフティネットに加入することが条件とされ、個々の事業者が『省エネ計画』を立て実行しなくてなりません。将来的に一次産業でも燃油への依存度を引き下げる有効な手段とは思いますが、現在の加入率はわずか14%。施設園芸だけでもこれから約3,000件の農家の方々がこの計画作りをすることになります。農協などが計画策定のサポートに入ることになると思いますが、手続きに多くの時間を要することがないよう、アドバイザーの派遣対応を要請しました。

 

④ 農林環境専門職大学の定員について

2年目を迎える農林環境専門職大学の4年制への受験倍率は2.8倍でした。県内学校における受験倍率としては近年珍しい人気ぶり。文科省の規定で1期生が卒業する4年後までは定員変更は認められないものの、移住定住先として全国一となった本県が農業を志す優秀な学生からも期待されているのだと、とても嬉しい話題です。そこで大切なのは、ここで入学できなかった学生たちに、本県農業が別の選択肢を用意できるかどうかということです。4年後からの定員増加への取組を始めることに加え、本県で農業への道を繋ぐ幅広い選択コースを用意できないか、検討を促しました。

 

⑤ 盛土調査の実効性について

昨年7月の熱海伊豆山の土砂崩落災害以来、県では独自に県内盛土の適法性と危険性を調査を開始し、その後の国の調査支持にも従って、全1,650箇所の該当箇所を調査してきました。 この調査の結果、189箇所で不適正処理や危険性が見受けられ、その後所有者や事業者に指導を行うも何ら改善に着手されていない箇所が71箇所に上るという報告がありました。

こうした事態を踏まえて県は、来年度暮らし環境部に『盛土対策課』を新設し、盛土条例を策定して届出制の採用と罰則を強化、更に南アルプス財団を設立と『水資源循環条例』の制定まで全関連4議案をこの議会に上程しています。熱海でのような甚大な被害が生じ、人命と財産とが奪われたわけですから、こうした新たな取組み、仕組みはもちろん必要ですから、私もこうした議案に異議を唱えるものではありませんが、大切なのは制度やルールだけではありません。それでは昨年7月にこうした条例や制度があったら、あの災害は起きなかったかといえば、必ずしも私はそうは言い切れないと考えています。つまり災害を防ぐ最重要な取組は人材育成とその訓練です。

条例があってもこれに従わない事業者に対して、行政側は誰が厳しい罰則をどの時点で決済するのか、そのための交渉に臨む際に、どのような下調査や権限が必要で安全性を担保するのか、担当職員の訓練こそが重要だと思うのです。警察署や交番を作るだけでなく、ちゃんと訓練されたお巡りさんがそこに必要な人数いてくれるから、そしてパトロールも含めて、犯罪に対する監視の制度が行き渡っているから、治安は維持されるのです。盛土の件も同じです。罰則の強化や組織はもちろん必要ですが、今回の盛土調査では相変わらず、その是正が進んでいないことを考えると、この訓練、人材量、取り組みのマニュアル化と市町を含めた共有が、まだほとんどできていないのだということに気付かされます。

昨日の質問でも、担当職員の訓練、決済までの流れの共有、職員の業務遂行の安全性の確保について、当局を質しました。

 

⑥ コロナ禍で消費が落ち込んだ農産品などへの支援について

コロナの影響を受けて、結婚式や葬儀をはじめ多くのセレモニーが中止や延期されてきました。この影響をモロに受けてきたのが、大規模な料理を提供してきた事業所、冠婚葬祭会場、そして花卉生産者など生産者の皆さんです。県ではこうした事態を受けて、企業には業態転換に補助金を出したり、事業継続に必要な資金融資への補償などを行ってきました。県のこの取り組みのなかには、農産品や花卉への消費拡大策もありました。今回は消費動向を見定めつつ支援継続を要望しました。

 

⑦ 企業局の取り組みについて

これまでもFBなどで紹介してきた県企業局の取組み。これは全国に誇るべき目を見張るほどの事業展開を見せています。県が行う企業活動は、工業用水事業、水道事業、企業立地のための団地造成事業で、公共性が高いものの受益者が限定され、この利用者たちに使用料を負担していただいて、独立採算を目指すものです。他の事例としては、市の上下水道や給食提供、土地開発、病院経営などが知られていますが、その多くが一般会計からの繰入金を相当額入れることで存続しているものがほとんどで、事業単独での黒字決算はなかなか実現していません。

しかし今の本県企業局は、あらゆるコスト削減と収益事業に挑戦し、単独採算を実現してきました。今回示された企業局の経営方針では、更に事業コストの1,000億円削減、企業立地による直接投資1,000億円、誘致企業による生産活動、毎年1,000億円の経済効果を掲げており、これまでの改革を集大成して経営計画を刷新しました。

改めて松下局長のご決意を質問してご期待を申し上げました!