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知事の発言を巡る攻防

12月6日 本会議

 

今月1日から始まった12月県議会定例会。

今日は議員質問の初日で、自民改革会議の代表質問が行われました。

 

質問に先立って、「知事の不適切発言」を巡って、またしても「訂正を求める決議」が提案され、議員全員が賛成して可決となりました。

 

今回の知事の不適切発言の概要は以下の通り。

9月議会最終日前日の10月12日、知事が外部の経済界関係者との懇談会で、三島市の国有地に東アジア文化都市のレガシーを継承するセンター施設を建設する構想を語り、その土地取得に関して「詰めの段階」と発言しました。しかし、実際には県庁内部での検討段階のもので、計画もなければ議会に諮られてもいない案件で、県民の前で、あたかも決定して推進できるかのような発言は時期尚早であり、軽率であるとして、県議会では総務委員会の皆さんが議会閉会中にも関わらず協議を重ねました。

 

そして委員会の出した結論は、知事による「発言の撤回」。

11月29日、総務委員会の正副委員長が知事室を訪ね、委員会の総意として撤回を求める申し入れを行いましたが、知事は訂正、撤回を拒否。むしろ議論が行われたことを喜ぶ発言を見せるなど、議論は全く噛み合わず。そして申し入れの最中に、知事直轄組織の職員が「予定時間の経過」を理由に申し入れを中断するとという、極めて議会を軽視した対応がなされたのです。

 

この事態を受けて会派の役員会では、

① 総務委員会の申し入れは、知事の発言を巡る協議の延長という「公務」であること。

② 公務である以上、これを職員が中断するなどはあり得ない、ということ。

③ そして知事の発言による全員一致という事態に際し、知事室に申し入れるべきものではなく、議会における本会議や委員会、或いは議長室や委員会室にて申し入れが行われるべきであったこと

などが議論されました。

 

こうした経緯を経て迎えた12月1日の開会日、知事は議会への議案説明の発言において、訂正するどころか、議会を含めて継承センターの議論を広く起こしていただきたいと述べるなど、県職員までが、「知事のセンター整備発言」について「驚いた、まだ何も決まっていない」と答えてきたにも関わらず、何が問題とされているのか、全く言及しない始末です。

 

そして今日、12月6日の開会直後、県議会では、総務委員会が申し入れしたものと同じ内容の「知事発言の訂正を求める決議」を全議員の賛成によって採択しました。採択後に本会議は再び中断、中沢議長、全会派の代表者によって、議長室にてこの決議が手渡されることになり、その後の本会議で、漸く知事の謝罪に至りました。しかしながら、全くスッキリしない謝罪であり、「お詫びする」という言葉は用いたものの、自らの発言の訂正については一切言及せず、「三島市での継承センターの整備については、一旦立ち止まって白紙撤回する」と、意図的に論点をずらして態度を表しており、これはつまり、議会が予てより問題としてきた「知事の発言」については訂正も反省も示さなかったということなのです。

 

今の県政の運営状況には本当に多くの課題が目立ちます。

知事への気遣いに奔走する職員の姿、政策の方向性を決めるための県庁企画部の取り潰し、財政課を知事直轄に置くという財政と政策の非分離、リニア問題では全国的に疑問を投げかけられ、熱海で発生した土石流災害の再検証結果の報告期限はとっくに過ぎており、試行したばかりの盛り土条例には改正や廃案を求める要望が後を絶たない始末です。

明日からの議員質問戦では、副知事の退職金不支への知事の関与、知事の組織運営手法、リニア新幹線への本県の姿勢など、知事の政治姿勢を問う質問が続きます。